【メルマガ】忘れられたスマホと記憶に残る生パスタ

いつもと違うことが起きると、いつもと違う世界が展開する。
朝、いつものように家を出たが、駅の近くまで歩いてスマホを忘れたことに気づいた。もう遅い。
 遅いのよ。もう戻る時間がない。会社に行くしかない。スマホの不在による手持ち無沙汰感に驚きつつ、電車の中でぼんやりと外を眺める。
 私は今までスマホに遊んでもらっていたのかしら、そんなことを考える。
 
昼休み、近くの小さなカフェで生パスタを注文した。バジルの香りが鼻腔をくすぐる。
エビとアボカドのバジルソース 
画材:クレヨン
いつもなら、この瞬間をスマホに収めていたはずだ。でも今日は違う。会社のお昼休みだしペンも紙も持ってきていない。ただパスタを見つめ、その色と香りを心に焼き付ける。
 
昔の人々は、そうやって美しいものを記憶に留めていたのだろう。なんという今を逃したら後がないという切迫感。生パスタを前にしてこんなことを考えている人は果たしてこのお店の中に他にいるのだろうか?笑
 パスタは柔らかく、バジルソースは新鮮な味わい。何も記録しなくても、これは忘れられない昼食になる。
 
「後がない」という感覚が、いま目の前ものに真剣に向かわせる。
 この感覚は、「瞬間を大切にする」という意識や、「今」この瞬間が二度と戻ってこないという現実を受け入れることを意味する。
 
スマホを忘れたことが、こんなにも素晴らしいなんて!笑
 
生パスタの美味しさが数倍になった。

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